まず、日本の大学院や専門職大学院が発行する学位の正式名称はMBA:Master of Business Administrationではありません。これは「日本だから日本語の正式名称がある」という単純な問題に止まりません。

日本の文科省にはMBAがどういった学問であるかという規定が存在せず、その解釈が各教育機関に委ねられています。規定がなければ解釈がぶれるのは自明の理です。そのため日本の教育機関で取得できるMBA(的な学位)とその教育は「一律の品質が保たれてはいない」ということに注意が必要です。

これが英国の場合、英国内の高等教育の品質保持を目的として設立されたQAA:Quality Assurance Agency for Higher Educationという国の独立機関が、MBA等の学位を厳格に定義付けして、英国内の高等教育や学位の品質評価を行っています。これが日本と英国のMBA教育に大きな差異をもたらしているポイントです。

またMBAの世界には「世界三大認証機関(AACSB、EFMD、AMBA)」と呼ばれる民間の認証機関が存在し、それぞれに設けた審査基準により、世界中のMBAの教育機関(プログラム)の評価・認証を行っています。こういった機関による第三者認証を取得していることは、MBAの教育機関として一定の質を保持していることの証明となります。そのため、国による品質評価のシステムがない国々のMBAスクールの多くは、何らかの第三者認証を取得して自校のMBA教育の質を担保しています。

ところが、日本で世界三大認証機関による品質保証を得ている教育機関は6校(2021年7月現在)しかありません。それ以外は自校以外にMBA教育の品質を保証してくれる存在がない、いわゆる「自称MBA」と言えます。日本の教育機関を選択肢に入れる場合は、まずこの第三者認証の有無が重要な確認点になります。